グレイビーめし
グレイビーめし
日本人の友人に、私が作ったグレイビー(肉汁ソース)を、よくご飯にかけて食べてもらうのですが、とても喜んでもらえるのが私の楽しみです。
西洋と東洋の食文化が出会ったことで、主食である白米と肉汁たっぷりのソースが相俟って、他には代え難い風味が生まれるのです。
日本人は米を最も大切にしています。そのことが神聖な穀物への文化的意義と日本文明の進化へ繋がったに違いありません。
西洋人が豚肉を焼く時に出る肉汁も、重要な意味を持つかもしれませんが、日本人にとっての米に対する文化的な思い入れとは異なるでしょう。
伝統的なフランス系カナダ人の私の父は、やはり豚肉と米の組み合わせが大好物でした。
そして父は豚肉の脂の風味が大好きで、朝食で焼いたフライパンに残ったベーコンの脂を取っておき、パンケーキを焼く時に再利用していました。それは世界一のパンケーキでした!
その脂で卵を焼くのも好きだったのですが、健康に悪いので、ある時から私の母に禁止されてしまいました。
さて、日本では大きな肉を丸ごと焼くことがあまりないので、大きなオーブンがある家庭も少ないでしょう。
オーブンは料理に凝った人以外には必要ないでしょう。
一般的な日本の主婦は、台所に必ずある魚焼きグリルで、家族の一人一人に一匹ずつ、一切れずつの魚を焼くのが関の山なのです。
日本人にはグレイビーという概念がないからこそ、マジックがあるのです。
デミグラスソースや照り焼きのタレも美味しいですね。しかし本物のグレイビーめしって物を食べてみたいと思いませんか。
この特別な肉汁かけご飯は、たった一握りの限られた、運のいい人だけが、一生に一度体験できるかもしれないという貴重な代物です。
思い浮かべてみて下さい。豚の脂に小麦粉をそっと忍ばせ、秘伝の調味料をふりかけて作る肉汁と、地元千葉県産の神聖な美味しい精白米との出会い。ああ思い出しただけでよだれが出てきてします。この料理はカナダの我が一族の秘伝の肉汁レシピから作られています。
日本人が肉汁に出会った時、日本と西洋の食文化が融合し、グレイビーめしというありえない組み合わせが生まれようです。
そして付き合わせには、ニュージーランド産のグラスフェッドバターと青森県産の新鮮なニンニクをたっぷり使ったベイクドポテトをプラス。なんとも本格的な雰囲気ですね!
オーストラリア産のマカダミアナッツオイルとハーブやスパイスをふりかけると、更にジャガイモの風味がより一層引き立ちます。
グレイビーは、色々な材料から作ることができます。
一番有名なのは、西洋の祝祭日によく登場する七面鳥ですね。
ビーガンの人向けには、肉を使わないグレイビーを作ることもできます。
野菜スープキューブと、ビーガンが使える魔法(塩、ハーブ、スパイス)で代用できるのです。
グレイビーめしは「人生」にも例えられるかもしれません。
安心できる土台である米に、人生のスパイスとなる肉汁をかける。