三磨の位
三磨の位
日本人が禅宗から学んだ最も重要な教訓の一つは、人間のあらゆる努力における精神の重要性ででした。
禅宗は飛鳥時代の656年頃に日本に伝わり、栄西禅師(1141-1215)、そして曹洞宗の開祖である道元禅師(1200-1253)により隆盛を極めました。
日本人は、潜在意識の奥深くに埋もれた、生来の禅的な冷静さと実践的な能力を備えています。
禅宗が成立して以来、数世紀にわたって日本文化が驚異的に発展してききました。日本人に深く根ざしている神道に関係しています。
日本人は常に仏教の寺院や神社に囲まれており、神社は日本の津々浦々にまで点在しています。
神々の国
このことは、日本人が実用性と冷静さを持つということを浸透させるためなのでしょう。
門前の小僧習わぬ経を読む
日本人は、すべての価値ある業績には精神的な要素があり、業績が大きければ大きいほど、精神的な貢献も大きいことに気づきました。
11世紀から12世紀にかけて、武士が生まれ、その武士たちが禅宗の教えを支持するようになりました。
なぜ、そうなるのでしょう。
禅宗の基本理念は、厳粛な生活と生活技術や芸術の訓練を、ほぼ強迫的とも言える献身を組み合わせて教えられます。
武士の生活は、並外れた武術の技能に依存し、最終的には並外れた程正確な、社会的礼儀作法に依存していました。ですから禅は、武士の精神と訓練の手引きとなりました。
1185年から1868年まで日本の支配階級として、武士は国を閉ざし、それによって徳川家の命ずるままに、何世紀にもわたる平和の中で最も素晴らしい社会と文化を発展させました。
この間、武士は日本の生活、言語および文学、美学、芸術および技術、日本人の日常の行動の非常に様式化された儀礼で、および 6 世紀の聖徳太子の憲法の埋め込まれた道徳のあらゆる面の標準を設定しました。
また、武士は日本文化に強い武道性を吹き込み、日本人は物事を正確に、規則正しく行い、いかなる種類の弱さや失敗も忌み嫌うようになりました。
これらの真理は、「日本人の道」の基礎である「形式ー秩序ー過程」に組み込まれていると考えてもいいでしょう。
日本人の生活の中で、禅の影響を受けていない分野はなく、あらゆる場面で日本人一人ひとりの性格に禅の要素を見ることができます。
自分自身の人生と目的を達成する秘訣は何でしょうか。
それは、「三つの練習」を繰り返すことです。
(1)正しい教えを受けること
(2) 教えに専念すること
(3) 教えを自分の工夫で生かすこと
正しい教えを吸収し、活用するために重要なことの一つは、どんな状況でも完全かつ正確に深い認識を得るために、心を空にして、完全な無執着に努め、心を完全に開放するこのです。
そのためには、「見」「観」といった智慧の鍵を養うことが不可欠なのです。
この「見」と「観」を理解する力を養い、人間のあらゆる行動に応用することで、現実を認識し、相手の意図を読み取ることができるようになります。
「空気を読む」ことが重要な日本社会で、非常に価値のある能力です。
名人と呼ばれる人なら誰でも知っているように、どんな芸術や技術でも、一度高いレベルに達すると、その技術を維持するために訓練と実践を続けなければなりません。これは日本人の「改善」哲学の特徴なのです。
日本人の「改善」思想の特徴でしょう。人は何事も完全に会得することはできないのです。「改善」とは、常に向上心を持ち続けなければならないという思想なのです。
「今日より明日へ」
「昨日の自分より今日の自分が良くなっているべきなのです」