秋田屋 – 日本一の串焼き屋

Jul 8, 2020

秋田屋;日本一の串焼き屋

あなたがもし日本にほんの数日間でも滞在したことがあるなら、ここが地球の台所であるという事が分かるでしょう。

私は今まで、このLand Of The Rising Sonの旅の中で、ユニークで美味しい「お店」にたくさん出会ってきました。

昔、週に何回か東京に通勤していた事があったのですが、いつもの様に田舎にある自宅に帰る高速バスの時間まで、バスターミナルの周辺を時間潰しに歩いていた時のことです。

バスターミナルからほんの少し歩いたところで、大きな窓から白い煙がモクモクと立ち昇り、白衣を着た無愛想な男たちが豚の串焼きを焼いているのが見えました。串焼きを焼いている窓の外には、立ったまま串焼きを片手に、酒を飲み交わす人々もいました。所謂立ち飲みです。

秋田屋外

私は即座に「おお、これはもしかしたらもしかするぞ。」と思ったのです。

そして私は勇気を出してこの秋田屋というこの店に入ったのですが、そこから今日までこの店との長い長い付き合いが始ったのでした。

狭い店内にはカウンターや椅子席もありましたが、所狭しと席が設けられ、知らないお客とも肩を触れ合いながらの飲食となっていました。もちろん英語のメニューなどある訳がありません。当初この店の店員達は、この外国人は日本語のメニューで注文ができるんだろうかという白い目で私を見ました。

秋田屋のメニュー01

私は店員に不機嫌そうにカウンターの席を指差され、安物のおしぼりを目の前に叩きつけられ、「何が飲みたいの?」と聞かれました。

その時私は「疲れてお腹がペコペコの日本の永住者に、ビールを一本お願いいたします。」と丁寧な日本語で答えました。

メニューを見てみると、とても美味しそうなものがたくさんあって、色々と試してみたくなりました。

まずは豚のモツ煮込みを注文。

因みに日本の居酒屋には、必ずと言っていいほどモツ煮込みがあります。

もつ煮込み

さらに私は、豚のタンとカシラと軟骨の串焼きを注文しました。

焼き豚 ガツ盛り合わせ02モツ煮込みを一口食べると天使のハレルヤが頭に響き、私はついに完璧なモツ煮込みに出会えたのだと確信しました。豚のモツが口の中でとろけていくその瞬間、今まで経験したモツ煮込みは何だったのだろうと思うくらい、それは最高のモツ煮込みだったのです。

そしてさらに私の気分を良くしたのは、店員の老婦人が店内をきびきびと気を配りながら歩き回り、客をまるで自分の子供のよう扱いながら、世間話をしていたからです。

老婦人04

結婚経験もない彼女は、この日本を背負った、空腹で疲弊したサラリーマンたちにサービスを提供するために、一生涯をこの店に捧げたのです。

想像してみてください。

老婦人07


She used to like to wear my hat.

彼女はまた、彼女のお気に入りの常連客の中から選ばれたお客さんだけに特別な自家製のぬか漬けをサービスで出してくれるのですが、幸いなことに、その後私もその内の一人になる事ができました。

そして私は彼女のユーモアのセンスが大好きでした。

それは暮れも押し迫ったある日、私は東京へ行き、また秋田屋に寄って帰ろうと思ったのですが、その時店のシャッターは閉まったままでした。がっかりして立ち去ろうとすると、たまたま通用口から出てきた彼女に出くわしました。私が「今日はお店が閉まっていて、美味しいものが食べられなくて残念です。」と言うと、彼女は「1月4日の正月休み明けにまた開店するから、それまでここに並んでいていいよ。」と言ったのです。そんなブラックジョークを言う彼女が私は好きです。

老婦人02

秋田屋が閉まっていたその日は12月29日でした。ジョークは面白かった訳ですが、しかし私は悲しく、お腹が空いたまま帰ったのでした。

老婦人08

彼女は兄弟と共に、遠く離れた秋田県北部から上京し、この店を設立しましたが、私が常連になった頃、兄弟の中のただ一人の生き残りでした。一家が私がいつも利用するバスターミナル近くの浜松町に、この唯一無二の豚モツ焼き店を開いていただいた事を感謝します。時は流れ、彼女も亡くなってしまいましたが、彼女のいたずら魂は、このLand Of The Rising Sonに生き続けるます。

さて、この店では「くさや」という珍味も食べられます。「くさや」とは、発酵した、焼くととんでもなく臭い魚のことですが、一旦口の中に入ると、とろけるような甘みのある味わいで、私の好きな冷酒を引き立ててくれるのです。

くさや02くさや01

初めの頃に、この店でウーロンハイを注文したことを思い出します。今ではウーロンハイはこの手の店では定番の飲み物であり、私はもちろんこの店にもあるものと疑いませんでした。しかしなぜか秋田屋のメニューにはその時も、そして今だに無いのです。不機嫌な店員からの辛口の返事は「置いてねえよ。」でした。

秋田屋のスタッフは、日本のお腹を空かせたサラリーマンのために、真面目に働いてくれているだけではなく、味があるとてもいい人たちです。

https://bit.ly/2Zw7xLV

秋田屋のマスター

秋田屋スタッフ01焼き豚マスター

東京の中心部にある本格的な立ち飲み屋、ぜひ行ってみてはいかがでしょうか。

秋田屋の地図はここです。

おまけ:炭火焼の達人の並外れた腕前をじっくりご覧下さい。