言語は概念である:「義理」

Oct 28, 2020ブログ, 勉強, 文化, 語学

言語は概念である:「義理」

「義理」の概念を理解することは、日本人のあり方を理解するということです。

すべての言語は、その言語を作った人の感情的、精神的、知的特性を反映したものなのです。言語は話し手のDNAに組み込まれているとも言えるでしょう。

本質的には、すべての言語は社会的な概念です。

古く、構造化され、排他的な社会とその言語であればあるほど、人々の態度や行動を根本的に支配する、文化的なニュアンスが具現化された表現や用語が多くなります。

日本には早くから儒教が伝わっており、孔子の思想は日本文化に大きな影響を与え、今日に至っています。

孔子の哲学の中で最も重要な考え方は、子供は親に、若者は年長者に、弟子は師匠に、そして全ての人は目上の人に義務を負うという概念です。

親、年長者、教師、上司などとの関係が自然に生まれ、「タテ社会」と呼ばれるようになった結果、人は生まれながらにして義務を負う事になるのです。

そのように自然に生まれた義務は、多くの強力な社会的、経済的、政治的制裁によって強制され、その結果、日本文化の中に深く浸透してきました。これらの義務を守ることは、今や日本人のDNAに焼き付けられていると言ってもいいでしょう。

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興味深いことに、このような社会的制裁の中で最も強力なものは「恥」だと言えます。(日本社会での「恥と追放」についてはこちらをご覧ください)

現代に近づくにしたがって、日本人は恥をかかされることに敏感になり、恥を避けることが行動の中で最も重要な原則となりました。

現代の日本社会では、孔子が人々のために定めた古代からの義務は、少し減少してはいますが、今でも根強く残っており、社会的にも職業的にも、義務を負うという場面を目にすることができます。

日本社会では、相手が恥ずかしいと感じるような立場にさせない様に、気をつけなければなりません。

さらに「義理」や「義務」そしてこの複雑なタテ社会に関わる様々なことを、よく学んでみて下さい。日本社会をより深く理解することができるに違いありません。

Responsibility and Obligation