地域社会
地域社会
家庭の「宗教」によって各個人が家庭生活のあらゆる行動を支配されていたように、村や地域の「宗教」によって、それぞれの家族が外界とのあらゆる関係を支配されていました。
家庭の「宗教」と同様に、地域社会の「宗教」もまた、祖先崇拝に基づいています。
神棚が日本の家庭を代表するものであるように、神道の神社はより大きなコミュニティを代表するものです。
この地域社会の神社では、氏神と呼ばれる神が崇拝されています。
氏神様は、特定の村や地域の守護神と見なすことができます。
元々氏神とは、日本の進化の初期から基礎を形成していた、血縁関係である家族や一族(氏)の祖先神のみを指していました。
これにより、日本人が刻々と変化する状況に適応するために進化してきたことが見て取れます。氏神様の保護は、後に一族やその近くに住む人々にまで拡大され、人が生まれたコミュニティ全体にまで及んでいます。
八雲は次のように述べています。
「日本の国家は、一つの血を引く単一の民族ではなく、様々な起源を持つ多くの氏族集団が、次第に一つの巨大な家父長制社会を形成するようになったという歴史がある。」
日本のほとんどの自治体には氏神様がいて、その地域の住民は氏子と呼ばれ、それぞれの守護神を崇拝しています。
このような氏神様の崇拝と祝福は、現在でも日本全国の特別なお祭りで見ることができます。
私の住む歴史的な街では、夏と秋の2回に渡って盛大な祭りが行われます。
この祭りは各地区に分かれ、それぞれの守護神を象った人形を乗せた山車を引き、お互いに敬意を表しながら競い合う様にパレードをします。
当然のことながら、崇拝されている神々は、つかの間の喜びや楽しみだけでなく、日本人が自分たちを崇拝している、真の人間性を心から喜んでいるのです。
現在でも、神社は地域社会において重要な役割を果たしており、日本人は七五三や成人式、そして毎年の初詣など、特別なイベントを祝うためにも訪れます。
日本人は神社に感謝し、幸運を祈り、より良い日を迎えるように祈ります。
興味深いことに、明治中期の八雲は神主に対して次のように理解をしていました。
「神主は市民的機能を果たさないにもかかわらず、法を超える力を持っていたし、今も持っている。」
「共同体との関係は極めて重要な種類のものであり、彼らの権威は「宗教的」なものに過ぎないが、それは重く、抗しがたいものであった。」
日本人を導く原理は、古代の法律や習慣に基づいており、神社や日本の道の良識ある賢者たちは、神道のすべてを包括する万物の教えに基づいて、時代を超えた知恵を伝え続けています。
日本の社会が今もなお強いのは、共同体精神の進化と社会を結びつける神社、そしてこの素晴らしい国を見守り続ける特別な神々のおかげでしょう。
日本 その解釈の試み
1904初版
パトリック・ラフカディオ・ハーン